仕事の概念が変わる

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20091129

主にネット通販の拡大に伴い、
リアル店舗の存続の危機が迫ってきたという生々しいデータ。


目に見える変化は、大小いろいろ出てくるだろう。


例えば、
消費の行動様式が変わる
→人の日常行動・移動が変わる
→街の構造が変わる


あるいは、
マーケティングの方向性が変わる
→広告の存在意義と手法が変わる
→メディア及びコンテンツの中身が変わる


などなどの変化が、静かに、しかし確実に、起こっていくことは
容易に想像できるところだ。


中でも、最も大きな変化のひとつは、
そこで働いていた人を筆頭に、仕事の概念が変わる
ということではないかと思う。


サービス業とその周辺の人たちの働く場がどんどんなくなっていき、
働く場がなくなった人たちは、
これからどうやって生きていくのか、
何をやれば食べていけるのか、
自分には何ができるのか、
まずはその根源的な問いに直面しなければならなくなる。


彼らの多くは、「現場」で、定められたルールに従って、
何らかの「作業」を行うことが仕事であった。
その仕事の価値の是非が問われる時代でもあり、
また「現場」そのものの存在意義が問われ始めているのだ。


もう少し具体的に言うと、
労働市場グローバル化に伴い、
ただそこにいて(その大半は誰にでもできる)何らかの作業をこなすことにより
対価をもらうと言う、競争力という概念からは程遠い仕事の存在価値が問われ始め、
また同時に、ネットの進化・普及により、
そういった仕事の「現場」自体が置き換え可能なものとなり、
サービスの窓口は「現場」になくても良い、
ネットを通じて、最も費用対価値の高いものを買う/サービスを受ける
という時代になってきた。


いよいよ単純労働の最後の砦であった「その場所にいる/あること」の優位性が、
少しずつ削られ始めたんだな、と実感する。


「その場所にあること」の優位性に依存するビジネスやその雇用の容量は、
なくなることはないが、確実に小さくなっていく。
そして、その優位性に依存してきた多くの人たちが、
これまで経験したことのない「自分自身」の優位性を、問われることになる。


これらのことは、もう随分前から、予想され議論されてきたことだ。
しかしそれがもう今は眼前に迫っている。


日本の労働市場は一皮剥けるのか、
あるいは現状にしがみつき緩やかな滅亡に向かうのか、
国はどういう形で支援していくのか。


あまり政策レベルで議論がされていないことだけど、
この一連の変化が、雇用に与える影響の大きさは計り知れない、
それこそ10年のうちに失業率が一桁変わってしまうほどの変化だと思う。
これからの世代に示す指針も必要だ。


「労働に貴賎はない」なんて言えた時代はもう終わったのだ。