進化のための深化


ドリコムが赤字転落したらしい。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/10/news073.html


そもそもなんで上場したのか・させたのかが激しく疑問なわけだが、それはまあ置いといて。


これを機としてウェブってやっぱだめじゃん論が燃え上がることは容易に想像がつく。また気まぐれ的でお祭り的な攻撃が始まるのかと思うと、正直またかという嫌な気分になってくる。所詮外野の声に過ぎないとは言え、それが世の中の雰囲気を形成し、資金調達やパートナーシップ構築等における環境悪化を招き、なんだかんだでやりづらくなるからだ。


そんな世の風潮に惑わされず常にポジティブな歩みを止めないために、今ウェブ業界がいるのはどのステップで次にどうなるのかを考えてみた。


web2.0っていう新しい概念が出てきた。
それを使ってみんなでわいわい遊んだらすごく楽しかった。
で、それを金にしようとしてみたら意外と難しかった。
で、そこに金を突っ込んだ人たちは不満だからあいつらだめだよと声高に言い始めた。
で、遊ぶ人たちは、さほど金にはならなくても、借金しなくても、受託開発とかしながら食っていける範囲で遊ぶという処方を身につけ、いよいよチープ革命が企業レベルにまで浸透してきた。


今ココですね。


id:umedamochioさんの表現を借りると、踊り場。
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20070106/p1
いろんな人がいろんな方法でそれまでに起こったイノベーションの恩恵を利用し応用し、金の匂いに敏感な人たちがそこに集まってきてお祭り騒ぎになり、しばらくしたらキャズムにぶち当たり、その結果、本当にウェブが好きで可能性を感じてしつこくその業界で生き残る企業と、金にならないからとあっさり撤退する・もしくは様子見に徹する・もしくはウェブ的な進歩を放棄してでもお金にしようとなりふりかまわず振舞う企業とに別れ、淘汰が行われる場所だ。


で、次に起こることは、大体こんな感じなんじゃないだろうか。


一定期間が過ぎ、淘汰を超えて生き残った企業が一定量に達し、踊り場が狭くなる、
そしてその中にずっといるもんかとこつこつ必死で技術を熟成させてきた企業が、ある時突然変異種として飛び立ち、一瞬にしてぬきんでる。イノベーションが起こる。
で、それを追って他のサバイバーたちも一皮剥けて、また階段上りが始まる。


書いててアホらしくなるようなシンプルな話だが、すべからく物事の進化ってそういう風だ。
進化が起こる、個体が増える、餌がなくなる、淘汰が起こる、変異種が現れる、それが普及する、
これの、繰り返しだ。
進化が止まれば、絶滅する。


その過程には、停滞期があって当然だ。
世の中の変化の速度なんてたかが知れているし、技術や概念の進化速度と一致してるわけでもない。
まして、既存ビジネスとの競合など抵抗要因も大きい。


id:jkondoさんとかid:umedamochioさんとかが言ってた「ひきこもれ」って言葉と、(http://d.hatena.ne.jp/jkondo/20070331/1175393752)「さなぎ」って言うメタファーは、ぴったり同じことを指している。今は、あーだこーだ言いたがる人たちに背を向け、深く潜った水の底で、思想と技術を深化させる時期なんだと思う。そして、次のイノベーションが起こった時に即座に対応できる力を付けておく、もしくは自分がイノベーションを起こす、もしくは無人の荒野を行く、それらの準備をする時期なのだと思う。そういうステップの時に妙な皮算用をしてしまうと、逆に大きく飛び立てないような気もする。


金になるならない以前に、ウェブにはまだまだ先の可能性があるし、何より世の中の前進に不可欠だ、と確信を持ち、自分はそれを作ってるんだというポジティブなモチベーションを持続させられないと、精神的にすごいきついんだろうな。それもまた淘汰の条件の一つなんだろう。


と、曖昧なことばっか言って具体的なキーワードがないことに気づいたので最後にひとこと。
個人的には、次のイノベーションは「身近でパーソナルでテンポラリーな情報の流通」ってのがキーワードになると思ってんだけどね。